機械学習による深さ方向熱伝導率解析
集積回路やパワーデバイスなどの半導体デバイスにおける発熱密度の上昇は喫緊の課題となっている。デバイス動作時の熱物性を評価するためには、非接触・非破壊で内部情報が得られることが望ましい。このように非破壊で深さ方向に熱物性値を計測する手法として、周波数領域サーモリフレクタンス(FDTR)に着目した。
FDTRは試料表面をポンプ光により周期加熱し、その温度応答をプローブ光により測定することで、試料の熱伝導率を推定する手法である。温度応答の周波数特性には深さ方向に変化する熱物性情報を取り出すことができると考えられるが、現状ではそのデータの処理方法に問題を抱えている。
我々は、FDTRに機械学習を適用することで、試料の深さ方向に分布する熱伝導率を解析する手法の開発に取り組んでいる。様々な関数形をもつ熱伝導率の深さ方向分布に対してFDTR測定系における温度応答の周波数特性データを作成し、これを教師データ機械学習モデルに学習させた。これにより表面の温度情報のみから深さ方向の熱伝導率分布を簡潔に予測する手法を提案した。